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薬のカプセルを「プラスチックだから」と外し、中の粉だけ飲むおじいちゃんの話。

症状に応じ使い分け

ヘルパーさんから相談です。ヘルパーさんたちは、介護保険が始まり、どんどん在宅介護の現場へ行って、要介護者の炊事、掃除、洗濯などの家事介護やトイレへ行く介助などの身体介護を行っています。薬をのむ介助をヘルパーさんが行っているケースもいっぱいあります。
薬剤師たちは、在宅療養している患者さんたちが、薬をきちんとのんだか、使ったかをヘルパーさんに確認してもらっていることもあります。
今回相談された内容は、あるおじいちゃんが、「カプセルは、プラスチックだから絶対のまない、中の粉っこだけのむ。」というものです。大丈夫でしょうか?
症状に応じ使い分け また、別なおじいちゃんは「玉が大きいからつぶしてのんでいる」。これまた大丈夫でしょうか。 答えは「危険です」。薬剤師に相談してください。また、漠然と質問されても、今のんでいる薬が何であるかを確定しないときちんとしたアドバイスはできません。
日本でお医者さんが使う薬は、約一万二千種類あります。同じ成分がいろいろな剤形に作られていますが、これを同じものと数えても約三千五百種類あるといわれています。
薬の名前、含んでいる量、剤形などはっきり分からないと、カプセルを外してのんだり、錠剤をつぶすことができるか分かりません。
なぜかを説明します。多くの薬の中で胃に直接刺激のあるもの、胃で溶けては困るものなどは、錠剤にコーティング(膜)をかけ、胃で溶けずに腸で溶けるようにしているのです。錠剤によっては、何層にもコーティングをかけているものもあります。
また、薬が胃で溶けては困る場合、腸で溶けるカプセルに入れている場合もあります。こうした細工によって副作用を防いでいる薬もあるのです。
このため、今のんでいる薬が膜がかかっているのか、腸で溶かすためのカプセルなのかを確認しないと、つぶしたり、カプセルから外したりしてはいけません。効果が減ったり、副作用につながる危険性があります。
また、最近は一日当たりの薬をのむ回数が減ってきていることに気づきませんか。ある痛み止めは、今まで一日三回だった錠剤を、同じ成分を腸で溶けるカプセルに入れて一日二回のむことで効果が出るようにしたものもあります。この痛み止めのカプセルを外してのむと、効果が短くなる、つまり痛みが途中で抑えられなくなります。胃にも負担がかかります。

のみづらい剤形は、薬剤師に相談してください。お医者さんと相談してのみやすいものに代えることも可能です。