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薬ののみ合わせで、子供がぐったり。こん睡状態に陥ってしまった。

相性や分量で中毒症状

薬局窓口で耳鼻科の処方せんを持ってきたお母さんとのやりとりです。
【薬剤師】
「どうしましたか。他の病院の薬のんでいませんか」
【お母さん】
「鼻水が出て、たんが詰まり、せきも出ているんです。小児科から抗生物質とせきがひどいときにのむように言われた薬をもらっています」と言って薬の名前を書いたメモを出しました。
【薬剤師】
「今日は、小児科の薬とダブらないように、たんを切る薬で、小児科と違うタイプのせき止めが出ています。小児科の薬と一緒にのませてください」
【お母さん】
「あのー、小児科の薬でせきがひどいときにのみなさいと言われた薬をのませると、子供がぐったりして眠ってなかなか起きないんです。どうしたらいいでしょう。」
【薬剤師】
「あれ、もしかしたら薬ののみ合わせでそうなっているかもしれません。調べてみますね。」
相性や分量で中毒症状 調べた結果、マクロライド系抗生物質エリスロマイシンと、キサンチン系気管支拡張薬チオフィリンの組み合わせが原因でした。
この場合、テオフィリンの中毒症状が出て「ぐったりして眠ったまま」が続いたと考えられます。

薬剤師は、テオフィリンをのませるのをやめるようにアドバイスしました。
また、このようになっていることおを小児科の先生にきちんと話すことも約束しました。
この結果、上記のような状態はなくなったと後日お母さんから「ありがとうございました」とお礼の電話がありました。
どうしてこうなったか解説しましょう。
エリスロマイシンによって肝薬物代謝酵素(解毒酵素)が邪魔され、テオフィリンの血中濃度が上昇してしまったのです。
このテオフィリンは、気管支をひろげるちょうどよい濃度と、中毒症状が出る濃度が接近していて、さらに個人差も大きいため、血中濃度を測って、その人に合った投与量を設計しなければなりません。
今回のケースはたまたま中毒症状が出る量になってしまっていたようです。
お互いの量を調整するお医者さんもいますが、テオフィリンを使っている方で中毒症状が出る量だと悪心(おしん)、おう吐、動悸(どうき)、手足が震える、意識障害、こん睡などの症状が出ます。
このような症状が出たら、すぐ、かかりつけのお医者さんか薬剤師に相談してください。薬の量の調整が悪いと、のみ合わせによって、こんなことも起こります。服薬記録の「お薬手帳」には、今のんでいる薬と相性が悪い薬のことや、のみ合わせによる注意事項などを書いてもらいましょう。