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下痢で介護が増える。無駄な介護保険での1割負担を払わないためには?

注意事項「お薬手帳」に

今回は、昨年暮れの介護支援専門員(ケアマネジャー)の研修中の事例から、下剤で介護が増えていた例を紹介します。
介護支援専門員が利用者のケアプランを作成し、サービスを担当する人たちと打ち合わせをするサービス担当者会議の練習の場面でのことです。福祉職の資格を持った介護支援専門員のたまごから実際今、かかわっている方の相談でした。
注意事項お薬手帳に 相談のあった利用者の要介護度では、現在、県内のある市の福祉サービスで毎日六回のヘルパーさんの訪問を受けているが、予定している国の決めた利用限度額では、毎日四回のヘルパーさんの訪問で、利用限度額を越えてしまうというのです。あと一日二回のヘルパーさんの分のお金が足りない、「大変だ」「どうしよう」「困った」の連発でした。
まず現在の一日六回訪問しているヘルパーさんの仕事の内容を聞いてみました。すると「毎日下痢・軟便気味なので毎回おむつ交換が必要」で一日六回行っているというのです。そこで、この方の、のんでいる薬を見てみました。血圧の薬をはじめ五種類の薬をのんでいました。この中で下痢を起こしていると考えられる薬をみてみると「緩下剤センノシド」「経腸成分栄養剤エンシュア・リキッド」の二種類でした。
緩下剤センノシドは寝る前に二錠、経腸成分栄養剤エンシュア・リキッド250mlを一日三缶使用していることが分かりました。こんな時は、まずセンノシドを二錠から一錠へ、または全くのまない。それでも下痢が止まらないのであればエンシュア・リキッドを別な栄養剤に代えるなどのことを考えねばなりません。
今回は、薬剤師が関与していないため、このような現状を介護支援専門員がかかりつけ医に相談するようにお願いしました。一般的に下剤について当たり前と思うことでも介護現場では、うまくいっていません。
かかりつけ医から必ず薬をのませるように指示されていたため、薬が原因で下痢症状が出ているとは、福祉職の介護支援専門員には、想像がつかなかったようです。
介護保険本番、このような下剤の量調節ができていず介護が増えているケースが散見されます。そしておむつ交換のためヘルパーさんを依頼し、無駄なサービス利用料の一割負担を払っていないでしょうか。
また、おむつ代もばかになりません。利用者が、今のんでいる・使っている薬で注意することを書いた「お薬手帳」を薬剤師がつくり、利用者宅を訪問するサービス担当者や家族に分かるようにしていきたいものです。