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降圧利尿剤でおしっこが近くなり、違う医院で頻尿改善剤をもらっていた六十代の女性の話。

のみ合わせで体に負担

県内のある村の健康づくり大会で「くすりの相談コーナー」を薬剤師会が設け、薬剤師が、相談者の今のんでいる薬を調べてあげたケースからの紹介です。
六十代の女性で、高血圧とのこと、三種類の薬をのんでいました。
「あれ!」。その中には、矛盾している組み合わせの薬が存在していました。「おしっこを出す薬」と「おしっこが出にくくなる薬」を一緒にのんでいるのです。
降圧利尿剤フロセミドと、排尿抑制ベンジル酸誘導体塩酸プロピベリンでした。
のみあわせで体に負担 フロセミドは、血圧が高かったり足がむくんだりしたとき等にのむ薬でおしっこを出して血圧を下げたり、むくみをとる薬です。
また、塩酸プロピベリンは、おしっこが近い人、つま頻尿の人がのむ薬です。
薬剤師「この薬(フロセミドを指さして)のんでからおしっこ、近ぐなったんでねが」(この薬をのんでからおしっこが近くなったのではないか?)
相談者「んだ、これのむまでおしっこ普通だった」
薬剤師「こっちの薬(プロピベリンを指さいて)同じ先生がらもらっているんだが」(こっちの薬、同じ先生からもらっているのですか?)
相談者「なも、べづだ医者さまがらもらってる」(いいえ、別のお医者さんからもらっています)
こんな感じでやりとりがありました。
詳しく本人に聞くと最初、血圧が高くてA医院に行って治療していた。しかし、おしっこが近くてとても我慢できないのでB医院にいった。怒られるといけないということでB医院には、A医院から薬をもらっていることを内緒にしていた―という事情でした。
何も知らないB医院の医師は、おしっこが近いという症状に合った排尿抑制ベンジル酸誘導体塩酸プロピベリンを処方し、薬を出していました。
この相談者は、反対の効果がある薬同士を一緒に何も知らずにのみ続けていたのです。体への負担を考えると大変なことです。こんな場合、フロセミドの量を減らすか、やめればおしっこの回数は減ります。ただし、勝手にやめないことです。血圧の変動を見ながら違うタイプの降圧剤に変えてもらわなくてはなりません。というわけで、同じ先生に相談すれば解決したはずです。
また、仮に今回のように違う医院に行ったとしたなら、今のんでいる、または使っている薬を全部その先生見せることが大切です。みんなでそのように行動しましょう。またこんなときにも服薬を記録する「お薬手帳」が役に立ちます。
今回のケースは医療保険の財源から見ても無駄な薬代です。