知らないうちに眠くなる薬が4種類。眠くて仕事ができず「助けて」。
2011年7月19日 | 健康コラム
のむ前に副作用チェック
薬局窓口での相談です。
「眠くて仕事にならない」と四十代の女性が薬局に飛び込んできました。「鼻水を止めるかぜ薬をのんだらもう眠くて仕事ができない」と言うのです。
この方は、もともと胃かいよう、更年期障害でお医者さんから処方された薬を六種類のんでいました。内科から四種類、婦人科から二種類、その中で眠気がでる薬が三種類入っていました。
中身をみてみましょう。
内科からもらっている薬で「心身安定剤クロチアゼパム糖衣錠」と「鎮痙(けい)剤臭化ブチルスコポラミン」という薬がありました。
「心身安定剤クロチアゼパム糖衣錠」は、いわゆる安定剤です。「あれっ」と思われた方もいたのではないでしょうか。「なぜ胃かいよう治療薬に安定剤が入っているの」と思いませんでした。
胃かいようは、ストレスが原因で起きることが多いのでお医者さんは、安定剤を一緒に使うことが多いのですが、それを患者さんに、説明することは少ないようです。
また「鎮痙剤臭化ブチルスコポラミン」は、胃腸がけいれんを起こしているのを和らげる薬です。これも眠くなりますが、特に口の中の渇きが気になる方の方が多いです。
さらに婦人科から更年期障害の症状を和らげるために「自律神経調整剤トフィソパム」もらってのんでいました。これも眠くなります。
この「眠くなりやすい薬」を三重にのんでいましたが、この方は眠気がそれほど日常生活に悪影響を与えずにうまくコントロールされていました。
ところが、そこに風邪をひいて、鼻水が出てたまらないので「町の薬局で買った鼻水止め」をのんだのです。
この鼻水止めには、抗ヒスタミン剤が入っており鼻水も止めますが、眠気や口の中が渇く症状も出ます。これで四種類の「眠くなる薬」が重なってしまい「眠い・眠い・眠い・眠い」状態になってしまいました。
この状態に次のように対処しました。
薬剤師がかかりつけの婦人科のお医者さんに電話して事情を説明し、鼻水の症状が止まるまで「自律神経調整剤トフィソパム」を休むことの了解を取りました。
翌日、薬剤師がその患者さんに電話をして眠気を確認したところ「おかげさまで大丈夫になりました」と感謝の声。これで一件落着となりました。
眠くなる薬は、たくさんあります。知らずに薬が原因で眠い状態になっているかた、多くはないでしょうか。長距離やタクシーの運転手、高い場所での仕事をされている方、特に注意が必要です。
市販されている薬も含め、今のんでいる薬が「眠くなるか」必ずチェックしましょう。そして日常生活を快適に過ごしましょう。