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健康コラム

「薬と賢く付き合おう」

東奥日報新聞に掲載された、「薬と賢く付き合おう」を、当サイトでもご紹介します。 薬剤師は平成6年から、医療保険の中で、患者さんの家を訪問し薬の管理・指導ができるようになりました。もちろん、医師の処方せんや指示、患者さん本人や家族の同意が必要です。薬をのんで、副作用やのみ合わせによって、知らないうちに日常生活に支障が出ているケースがあります。県内の訪問活動で接した例に基づいて紹介したいと思います。

【解説】木村隆次
1958年、青森市生まれ。青森東高校、城西大学薬学部卒。日本薬剤師会常務理事、青森県薬剤師会副会長、介護支援専門員指導者、あおもり福祉環境研究会世話人代表などを務める。
※その他の社会活動についてはこちらをご覧ください。
事例
「孫が粉薬をのまない。どうしたらいいの?」と言うおばあちゃん。練りわさび方式で解決。
事例
自分がのんでいる薬を娘にプレゼント。娘は血圧が下がり過ぎ倒れてしまった話。
事例
昨日は皮膚科で今日は耳鼻科…。アレルギーが原因の掛け持ち受診で薬をもらう時の注意は?
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味がしないと訴える八十代のおばあちゃん。薬が原因で嫁と不仲に?
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冷蔵庫の中を開けると坐薬がいっぱい。だれにどれだけ使うのか分からない?
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薬ののみ合わせで、子供がぐったり。こん睡状態に陥ってしまった。
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血圧を下げる薬。「最近調子がいいから」と勝手にやめてとんでもないことに。
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心臓病用のはり薬(テープ剤)を健康な奥さんにプレゼント。同じ痛み止めでも…。
事例
手が震えて目薬をうまくさせず、1回にたくさん使うおばあちゃんの話。
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薬のカプセルを「プラスチックだから」と外し、中の粉だけ飲むおじいちゃんの話。
事例
八十代の夫を妻が介護している患者宅での出来事。はいかいを止める薬で洗濯量が増える?
事例
血圧を下げる薬で空せき。おばあちゃんが家族との食卓から離される。
事例
下痢で介護が増える。無駄な介護保険での1割負担を払わないためには?
事例
降圧利尿剤でおしっこが近くなり、違う医院で頻尿改善剤をもらっていた六十代の女性の話。
事例
知らないうちに眠くなる薬が4種類。眠くて仕事ができず「助けて」。
事例
心臓発作時に使う頓(とん)服薬をたんすにしまっていた70代の女性。発作が起きずに命拾い。
事例
健康食品での薬の作用が弱くなる話。クロレラ食品を飲んだら血液をさらさらにする薬の効果が落ちていた。
事例
牛乳や乳製品、制酸剤と一緒に飲むと効果が弱くなる薬の話。
事例
グレープフルーツで血圧を下げる薬の効果が強く出る話。
事例
せき止めをのんだら手が震え止まらない-と訴えてきた人の話。

自分だけのお薬手帳をつくりましょう!

自分だけのお薬手帳をつくりましょう!

【薬剤師がチェックする内容の例】
※成分・作用が重複しないか。
※薬どうしが反対の作用をしないか。
※副作用が出やすい組み合わせになっていないか。
※以前副作用が出た薬が再び処方されていないか。
※危険な組み合わせになっていないか。
※飲み方・保管取り扱い上の注意事項はないか、など。

せき止めをのんだら手が震え止まらない―と訴えてきた人の話

予期せぬ症状 必ず確認

突然、薬局にこんな電話がありました。
「手が震えて止まらない、助けて―」
よく聞いてみるとお医者さんからもらった風邪薬をのんで手が震え出したということでした。
予期せぬ症状 必ず確認 お医者さんは、風邪の症状に合わせて数種類の薬を処方します。
ばい菌を殺す抗生物質、のど・鼻の炎症を抑える消炎酵素剤、熱や痛みを取る解熱鎮痛剤(熱さましや痛み止め)、鎮咳(ちんがい)剤(せき止め)、たんを切る去痰(去痰)剤などです。
今回、問題になる薬はせき止めです。
せき止めにもいろんなタイプがあります。せき中枢をブロックするタイプや気管支を広げるタイプなどさまざまです。
手が震える原因になった薬は、気管支を広げてせきを止める薬、気管支拡張β2刺激剤の塩酸ブロカテロールでした。
もともと、このタイプのせき止めは、気管支を広げる反面、心臓にも働いて、どうきがする、脈が速くなる、また指先がビリビリする、手足が震えるなどの症状が出やすい薬です。
この症状は、個人個人で感じ方が違います。また全員が出るわけではありません。
この患者さんは、手が震える症状が強く出てしまったのです。のむことをやめ、この薬を処方してくれたかかりつけのお医者さんに相談し、違うタイプのせき止めに変更して問題は解決しました。
最近、このタイプのせき止めは効果が期待できるのでお医者さんは、よく使っています。
風邪をひいてせきが出た時、このタイプのせき止めをのむ機会が多くなります。風邪で体調が悪いから、手がカタカタする、どうきがする、指先がビリビリする、と勘違いしている方も多いようですが、のんでいる薬によって普段と違うどんなことが起きるのか、どのような予期せぬ症状があるのか必ず確認しておくことが大事です。
そんなときも服薬の記録や服薬中の注意事項が記載できる「お薬手帳」が役に立ちます。薬局薬剤師に記載してもらいましょう。

グレープフルーツで血圧を下げる薬の効果が強く出る話

注意事項「お薬手帳」に

今回は、食べ物とののみ合わせで薬の効果が強く出るお話です。
「毎朝、あなたはグレープフルーツを食べたりグレープフルーツジュースを飲みますか」―。「はい」と答えた方は、これから話すことを真剣に聞いてください。
注意事項「お薬手帳」に 実はグレープフルーツジュースと高血圧、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗(きっこう)剤の「ニフェジピン」「ニカルジピン」「ニトレンジピン」「ニソルジピン」「ベラパミル」などを一緒にのむと、これらの薬の作用が強く出ます。
具体的にどうなるかというと、まず血圧が下がり過ぎ、心拍数が増えます(ドキドキの回数が増える)。そしてめまい、ふらつき、頭痛、顔面紅潮(顔がほてる)等が起きます。「好きなグレープフルーツを食べられないの」「ずらして食べればいいんじゃない」と思うでしょう。しかし、残念ですが、これらの薬をのんでいる人は、食べたり飲まないようにしましょう。これらの薬のなかには、グレープフルーツの影響を八時間ぐらい受けるものもあるのです。
なぜか。まず薬の代謝について簡単に説明します。
人間の体は、のんだ薬がそのままの形(薬として効果がでるかたち)でいると、今回のように効果が強く出過ぎたり、体の中に蓄積しますので、肝臓でいろいろな酵素によって「薬でないかたち」や「害のないもの」にどんどん変えてしまうようになっています。そしてある一定時間が過ぎると、ほとんどの薬は、尿、便、汗、呼気、乳汁などで体の外に出されます。
今回のやっかい者は、グレープフルーツ特有の苦味成分であるフラボノイドが問題であることが分かってきました。グレープフルーツに含まれる苦味成分のフラボノイドが今回取り上げた薬の解毒酵素チトクロームP450-CYP3A4という酵素の仕事を邪魔するのです。その結果、先ほど話したような薬をのみ過ぎた症状が出るのです。
このほか不眠症治療薬「トリアゾラム」「ミダゾラム」、抗アレルギー薬「テルフェナジン」、免疫抑制剤「シクロスポリン」抗HIV薬「サキナビル」なども影響を受けます。効き過ぎによる症状は、先に説明した高血圧、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗剤とは、当然違います。かかりつけのお医者さんや薬剤師にご相談ください。ちなみにオレンジジュースは、やっかい者のフラボノイドが含まれていないので大丈夫だそうです。
高血圧、狭心症の患者さんへ。今、あなたが飲んでいる薬がグレープフルーツジュースと一緒にのんでよいか、いまいちど確認をお願いします。

牛乳や乳製品、制酸剤と一緒に飲むと効果が弱くなる薬の話

服用は水かぬるま湯で

県内のある町の老人大学(町主催の健康講座)での一幕です。
薬剤師が講師として「薬と賢く付き合う方法」を話しながら、こんな質問をしました。「薬を牛乳でのんでいる人、手を挙げてください」。これに対し三分の一の人が手を挙げました。あなたなら手を挙げましたか?
薬剤師からは、飲み合わせを考えると薬を牛乳でのむことはできるだけ避けてください―とお願いしています。
服用は水かぬるま湯で 医師が処方する薬の中で、テトラサイクリン系抗生物質の塩酸ミノサイクリン、ニューキノロン系抗菌剤のノルフロキサシン、オフロキサシン、などは牛乳、乳製品、胃薬の仲間の制酸剤(市販されているものも含む)の中のカルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどと胃の中でくっついて吸収が悪くなります。そして薬の効果が百あるものが六十とか七十の力まで落ちてしまうケースもあるのです。
これらの薬は、風邪をひいた時やぼうこう炎、中耳炎、副鼻腔(くう)炎など細菌感染が原因で起きる病気によく使われます。つまり病気の原因になっている細菌(ばい菌)を殺す薬です。
本当は、飲み合わせが悪く、吸収が落ちて薬が効かなっかたのに、それを知らずにお医者さんは、違う薬に変えてしまうこともあります。
対策として、薬と牛乳・乳製品・制酸剤が胃の中で一緒にならなければいいわけですから、先に薬を飲んで、およそ一時間ぐらいたってから牛乳等を飲むことで解決します。これらは、薬局薬剤師が当たり前に説明していますので、きちんと説明を聞き、効果の上がるのみ方をしましょう。
また、市販されている制酸剤との飲み合わせが意外に落とし穴です。制酸剤をのんでいることの話も必ず薬剤師に言ってください。

しかし高齢者の方たちは、何種類もの薬を飲んでいますので「この薬は、乳製品でもいいです、この薬はだめです、一時間ほど時間をずらしてください」などと言っても、どれがどれだか分からなくなります。
挙げ句の果てに「かちゃくちゃなく」(わけがわからなく)なり全部牛乳でのむことになってしまうのです。
こうならないためにも薬は、水またはぬるま湯でのんでください。牛乳を飲むなといっているのではありません。薬をのんでから一時間ほど時間を置いて飲むのがいいでしょう。これらのことも服薬記録の「お薬手帳」に書いてもらうと安心です。

健康食品で薬の作用が弱くなる話。クロレラ食品をのんだら血液をさらさらにする薬の効果が落ちていた。

飲み合わせに注意必要

クロレラ食品は健康食品として、広くのまれていますが、クロレラ食品と抗凝血剤の「ワルファリンカリウム」という薬を一緒にのむとワルファリンカリウムの効果が弱くなります。健康食品と薬の飲み合わせには注意が必要です。
このワルファリンカリウムは静脈血栓症、心筋梗塞(こうそく)症、肺塞栓(そくせん)症などの治療・予防に使われる薬です。血液が固まって血管がつまるのを防ぐためにのまれています。つまり、このような病気の人には、この薬は「命綱」なのです。

薬局窓口で実際にこのような事例がありました。
のみあわせに注意が必要 初めてAさんが処方せんを持ってきたときのワルファリンカリウム錠の量は、一回1mg錠を一錠でした。数ヵ月がたち、この薬の量がどんどん増えていきました。毎回病院でお医者さんは、トロンボテストという血液の固まりやすさをみる検査をしてワルファリンカリウムの量を決めているのですが、気がついてみると一回1mg錠を五錠までのむように増えていました。
薬剤師は、現在のんでいるほかの薬との飲み合わせは全部調べましたが、特に問題はありませんでした。
患者さんとさらに話し合いが始まりました。
薬剤師「Aさん、最近、健康食品のんでねが」(Aさん、最近、健康食品飲んでいませんか?) Aさん「最近クロレラをのんでるんだ。体さ、いいって聞いだはんで」(最近クロレラをのんでいます。体にいいって聞いたものですから。)
分かりました。ワルファリンカリウムの量が増えている原因は「クロレラ食品」でした。クロレラ食品がAさんの命綱のワルファリンカリウムの効果を弱めていたのです。このためクロレラ食品をのむことをやめさせ、この状況を主治医に報告しました。主治医も不思議に思っていたそうです。ワルファリンカリウム錠の量は、元の量に戻りました。
ちなみにこの薬の効果が弱くなる元の原因は、クロレラ食品に入っているビタミンKが原因なのです。つまりワルファリンカリウムは、ビタミンKと一緒にのんではいけないのです。
さらにビタミンKがたくさん入っている、納豆、青汁、モロヘイヤのスープ、ホウレンソウを一日三食食べることなども、気をつけなければなりません。ほかの食品や薬との飲み合わせ、食べていい量など、気を付けなければならないことはまだまだあります。詳しくは、かかりつけのお医者さんや薬剤師にご相談ください。

心臓発作時に使う頓(とん)服薬をたんすにしまっていた70代の女性。発作が起きずに命拾い。

常に使えるよう携帯を

薬剤師が保健婦さんと一緒に、薬に対して不安を感じている高齢者の家を訪ね、相談に乗るという、県内のある村の保健事業で見つけた「命拾い」の一例です。
この保健事業は、今のんでいる・使っている薬が何種類もあり不安を感じている方、また、普段から保健婦さんが村民を見守っている健康づくり事業で、薬が原因で問題解決ができていないといった方を対象にしています。もちろん相談者の同意を得ての訪問です。
この七十代の女性の場合、のんでいるすべての薬の保管場所がたんすの引き出しの中でした。
常に使えるよう携帯を 薬剤師「あれ~、心臓いだぐなったら舌のながで使う薬、これもたんすのながさ、しまってらのが」(あらら、心臓が痛くなったら舌の中で使う薬、これもたんすの中にしまっているのですか) 相談者「うんだ」(そうです)
薬剤師「これ散歩だの、買い物だの、家の外さ出る時、必ず持ってねばまいね薬だや。いづ、発作おぎるが、わがねべ」(これは散歩とか、買い物とか、家の外に出る時、必ず持っていなければならない薬なんですよ。いつ発作がおきるがわからないでしょう?)
相談者「うんだが、わ、なも、わがねがったじゃ」(そうですね。私、何も知りませんでした。) 今回、問題になった薬は、狭心症治療薬の硝酸イソソルビドの錠剤です。かかりつけのお医者さんの指示は、狭心症発作時に舌の下で使用することでした。
胸が痛んだり締めつけられるような狭心症発作が起きたり、発作が始まりそうになったらこの薬を舌の下に入れて溶かします。
そして、舌の下に入れてから首まわりを緩め(ネクタイを緩めたり、ワイシャツなどのボタンをはずしたりというように)ベルトも緩めて最低十分くらいはゆったりと座る、というように使う薬です。 高齢者には、「舌の下」というよりは「舌のなが(中)」といったほうが分かりやすいと思います。 またニトログリセリンと同じ使い方と言った方が皆さんには分かりやすいかもしれません。
ただし硝酸イソソルビドとニトログリセリンは同じような効果を期待して使用されますが、同じ成分では、ありません。
以上のような使い方をする薬ですが、大変な間違いをこの女性はしていました。
狭心症発作は、いつ起こるか分かりません。この硝酸イソソルビドの錠剤は、いつでも使えるようにしておかなくてはなりません。外出(散歩・買い物・旅行など)時には、財布などに入れ必ず身につけていなければならない薬です。硝酸イソソルビドは、狭心症患者のお守りであり、命綱です。それなのに、この方は後生大事に薬をすべてたんすの中に保管していたのです。
もらった頓(とん)服薬の使い方、「いつ」「どんなとき」「どのように」使用するかを必ずお医者さん、または、薬剤師に聞いてください。また服薬記録の「お薬手帳」にきちんと書いてもらいましょう。

知らないうちに眠くなる薬が4種類。眠くて仕事ができず「助けて」。

のむ前に副作用チェック

薬局窓口での相談です。
のむ前に副作用チェック 「眠くて仕事にならない」と四十代の女性が薬局に飛び込んできました。「鼻水を止めるかぜ薬をのんだらもう眠くて仕事ができない」と言うのです。
この方は、もともと胃かいよう、更年期障害でお医者さんから処方された薬を六種類のんでいました。内科から四種類、婦人科から二種類、その中で眠気がでる薬が三種類入っていました。
中身をみてみましょう。
内科からもらっている薬で「心身安定剤クロチアゼパム糖衣錠」と「鎮痙(けい)剤臭化ブチルスコポラミン」という薬がありました。
「心身安定剤クロチアゼパム糖衣錠」は、いわゆる安定剤です。「あれっ」と思われた方もいたのではないでしょうか。「なぜ胃かいよう治療薬に安定剤が入っているの」と思いませんでした。
胃かいようは、ストレスが原因で起きることが多いのでお医者さんは、安定剤を一緒に使うことが多いのですが、それを患者さんに、説明することは少ないようです。
また「鎮痙剤臭化ブチルスコポラミン」は、胃腸がけいれんを起こしているのを和らげる薬です。これも眠くなりますが、特に口の中の渇きが気になる方の方が多いです。
さらに婦人科から更年期障害の症状を和らげるために「自律神経調整剤トフィソパム」もらってのんでいました。これも眠くなります。
この「眠くなりやすい薬」を三重にのんでいましたが、この方は眠気がそれほど日常生活に悪影響を与えずにうまくコントロールされていました。
ところが、そこに風邪をひいて、鼻水が出てたまらないので「町の薬局で買った鼻水止め」をのんだのです。
この鼻水止めには、抗ヒスタミン剤が入っており鼻水も止めますが、眠気や口の中が渇く症状も出ます。これで四種類の「眠くなる薬」が重なってしまい「眠い・眠い・眠い・眠い」状態になってしまいました。 この状態に次のように対処しました。
薬剤師がかかりつけの婦人科のお医者さんに電話して事情を説明し、鼻水の症状が止まるまで「自律神経調整剤トフィソパム」を休むことの了解を取りました。
翌日、薬剤師がその患者さんに電話をして眠気を確認したところ「おかげさまで大丈夫になりました」と感謝の声。これで一件落着となりました。
眠くなる薬は、たくさんあります。知らずに薬が原因で眠い状態になっているかた、多くはないでしょうか。長距離やタクシーの運転手、高い場所での仕事をされている方、特に注意が必要です。 市販されている薬も含め、今のんでいる薬が「眠くなるか」必ずチェックしましょう。そして日常生活を快適に過ごしましょう。

降圧利尿剤でおしっこが近くなり、違う医院で頻尿改善剤をもらっていた六十代の女性の話。

のみ合わせで体に負担

県内のある村の健康づくり大会で「くすりの相談コーナー」を薬剤師会が設け、薬剤師が、相談者の今のんでいる薬を調べてあげたケースからの紹介です。
六十代の女性で、高血圧とのこと、三種類の薬をのんでいました。
「あれ!」。その中には、矛盾している組み合わせの薬が存在していました。「おしっこを出す薬」と「おしっこが出にくくなる薬」を一緒にのんでいるのです。
降圧利尿剤フロセミドと、排尿抑制ベンジル酸誘導体塩酸プロピベリンでした。
のみあわせで体に負担 フロセミドは、血圧が高かったり足がむくんだりしたとき等にのむ薬でおしっこを出して血圧を下げたり、むくみをとる薬です。
また、塩酸プロピベリンは、おしっこが近い人、つま頻尿の人がのむ薬です。
薬剤師「この薬(フロセミドを指さして)のんでからおしっこ、近ぐなったんでねが」(この薬をのんでからおしっこが近くなったのではないか?)
相談者「んだ、これのむまでおしっこ普通だった」
薬剤師「こっちの薬(プロピベリンを指さいて)同じ先生がらもらっているんだが」(こっちの薬、同じ先生からもらっているのですか?)
相談者「なも、べづだ医者さまがらもらってる」(いいえ、別のお医者さんからもらっています)
こんな感じでやりとりがありました。
詳しく本人に聞くと最初、血圧が高くてA医院に行って治療していた。しかし、おしっこが近くてとても我慢できないのでB医院にいった。怒られるといけないということでB医院には、A医院から薬をもらっていることを内緒にしていた―という事情でした。
何も知らないB医院の医師は、おしっこが近いという症状に合った排尿抑制ベンジル酸誘導体塩酸プロピベリンを処方し、薬を出していました。
この相談者は、反対の効果がある薬同士を一緒に何も知らずにのみ続けていたのです。体への負担を考えると大変なことです。こんな場合、フロセミドの量を減らすか、やめればおしっこの回数は減ります。ただし、勝手にやめないことです。血圧の変動を見ながら違うタイプの降圧剤に変えてもらわなくてはなりません。というわけで、同じ先生に相談すれば解決したはずです。
また、仮に今回のように違う医院に行ったとしたなら、今のんでいる、または使っている薬を全部その先生見せることが大切です。みんなでそのように行動しましょう。またこんなときにも服薬を記録する「お薬手帳」が役に立ちます。
今回のケースは医療保険の財源から見ても無駄な薬代です。

下痢で介護が増える。無駄な介護保険での1割負担を払わないためには?

注意事項「お薬手帳」に

今回は、昨年暮れの介護支援専門員(ケアマネジャー)の研修中の事例から、下剤で介護が増えていた例を紹介します。
介護支援専門員が利用者のケアプランを作成し、サービスを担当する人たちと打ち合わせをするサービス担当者会議の練習の場面でのことです。福祉職の資格を持った介護支援専門員のたまごから実際今、かかわっている方の相談でした。
注意事項お薬手帳に 相談のあった利用者の要介護度では、現在、県内のある市の福祉サービスで毎日六回のヘルパーさんの訪問を受けているが、予定している国の決めた利用限度額では、毎日四回のヘルパーさんの訪問で、利用限度額を越えてしまうというのです。あと一日二回のヘルパーさんの分のお金が足りない、「大変だ」「どうしよう」「困った」の連発でした。
まず現在の一日六回訪問しているヘルパーさんの仕事の内容を聞いてみました。すると「毎日下痢・軟便気味なので毎回おむつ交換が必要」で一日六回行っているというのです。そこで、この方の、のんでいる薬を見てみました。血圧の薬をはじめ五種類の薬をのんでいました。この中で下痢を起こしていると考えられる薬をみてみると「緩下剤センノシド」「経腸成分栄養剤エンシュア・リキッド」の二種類でした。
緩下剤センノシドは寝る前に二錠、経腸成分栄養剤エンシュア・リキッド250mlを一日三缶使用していることが分かりました。こんな時は、まずセンノシドを二錠から一錠へ、または全くのまない。それでも下痢が止まらないのであればエンシュア・リキッドを別な栄養剤に代えるなどのことを考えねばなりません。
今回は、薬剤師が関与していないため、このような現状を介護支援専門員がかかりつけ医に相談するようにお願いしました。一般的に下剤について当たり前と思うことでも介護現場では、うまくいっていません。
かかりつけ医から必ず薬をのませるように指示されていたため、薬が原因で下痢症状が出ているとは、福祉職の介護支援専門員には、想像がつかなかったようです。
介護保険本番、このような下剤の量調節ができていず介護が増えているケースが散見されます。そしておむつ交換のためヘルパーさんを依頼し、無駄なサービス利用料の一割負担を払っていないでしょうか。
また、おむつ代もばかになりません。利用者が、今のんでいる・使っている薬で注意することを書いた「お薬手帳」を薬剤師がつくり、利用者宅を訪問するサービス担当者や家族に分かるようにしていきたいものです。

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